少年は誰でも
少年は誰でも幻の女を持っている。
C=秋山晶
CL=キューピー・アメリカンマヨネーズ
これだけでは、何故にキューピー? という感じですが、ボディコピーが以下に続きます。
トルーマン・カポーティを最初に読んだのは16歳の秋だ。「ティファニーで朝食を」。
龍口直太郎氏の訳で新潮文庫だった。
学校が休みの日だったのだろう。その本を読み終わった時のきらきらした午後の光。
凛とした空気の中で急に寒気を覚えたのは季節の変化だけではなかったと思う。
その日から、ホリー・ゴライトリーという女性が胸の中に住むようになった。
少年は誰でも幻の女を持っている。
ずっと後になって現実の女性を好きになったとき彼女はやせてあごがとがり、髪は肩にとどいていた。
はじめてニューヨークを旅したとき、セントラルパークにそってアッパー・イーストを歩きながら、ふたたびトルーマン・カポーティを思い出していた。
白いマンションを見上げるベンチで自分は彼の世界にいると思った。
公園の樹々は一面に黄色く色づき、サンドイッチのマヨネーズは冷たかった。
キャッチコピーではなく、文学作品だと言われる由縁ですね。