時代を現すキャッチコピー

時代の文脈を時に読み取り、時に先だって作ってきたキャッチコピー。それらを紹介しています。

遊び方は

 

遊び方は生き方です。

 

C=白石大介

CL=東日本旅客鉄道・JRスキースキー(96年)

 

有給休暇、消化できてますか? そんなことを暗に問いかけてくるかのようなコピー。

スキーの盛況も過去のことで、今では過去のことですが……ちゃんと遊べているのか問いかけてくるような、胸を打つコピーです。

少年は誰でも

 

少年は誰でも幻の女を持っている。

 

C=秋山晶

CL=キューピー・アメリカンマヨネーズ

 

これだけでは、何故にキューピー? という感じですが、ボディコピーが以下に続きます。

 

トルーマン・カポーティを最初に読んだのは16歳の秋だ。「ティファニーで朝食を」。
龍口直太郎氏の訳で新潮文庫だった。
学校が休みの日だったのだろう。その本を読み終わった時のきらきらした午後の光。
凛とした空気の中で急に寒気を覚えたのは季節の変化だけではなかったと思う。
その日から、ホリー・ゴライトリーという女性が胸の中に住むようになった。
少年は誰でも幻の女を持っている。
ずっと後になって現実の女性を好きになったとき彼女はやせてあごがとがり、髪は肩にとどいていた。
はじめてニューヨークを旅したとき、セントラルパークにそってアッパー・イーストを歩きながら、ふたたびトルーマン・カポーティを思い出していた。
白いマンションを見上げるベンチで自分は彼の世界にいると思った。
公園の樹々は一面に黄色く色づき、サンドイッチのマヨネーズは冷たかった。

 

キャッチコピーではなく、文学作品だと言われる由縁ですね。

スカートも哲学書も、

スカートも哲学書も、

めくるのは十代だった。

 

C=一倉宏

CL=サントリー・ローヤル(88年)

 

思わず二度見してしまうような、そんな印象深いキャッチコピー。

ウイスキーの広告だからこそ書けるキャッチコピーもあります。

恋を何年

 

恋を何年、休んでますか。

 

C=眞木 準

CL=伊勢丹(89年)

 

こちらも有名な伊勢丹のコピーなので、関心のある方は目にしたことがあるのではないでしょうか? ライフスタイルから消費を追求するという品格ある広告戦略。

 

現代では中々見られない、洗練されたオトナのコピーライトです。

キミが好きだと

キミが好きだと言うかわりに、

シャッターを押した。

 

C=福田恭夫

CL=オリンパス商事(80年)

 

1980年に、こんなロマンチックなキャッチコピーが生まれていました。

当時はデジタルカメラは存在せず、フィルムで写真を撮っていました。

 

携帯電話で手軽に写真が撮れる現代とは、一枚の写真の持つ意味も当然ながら違っていました。

 

しかし……1980年代のコピーとは思えない程に、現代にも色あせなく美しく響きます。